バランス(計量器)
インドでは街中のお店でこのようなアナログスタイルの計量器がごく自然に使われていますが、モダンなショップではデジタルタイプの計量器が主流となっています。私から観るとインドではアナログスタイルがなにやらぴったりと収まっているようでこのスタイルには共感を覚えています。
多くのことに過度な正確性を求め過ぎ、少しギスギスしている昨今には息のつまりを覚えたりしている世捨て人の戯言でもありますが、もう少し鷹揚に構えることもストレスを溜め込まない方法の一つでもあります。
このバランスは判決文を書く際に自らの心のバランスを保つため、偏った判決にならないように目の前において心を平らかにしながら判決文を書くために購入したいと述べられた裁判官の方もおいでになりました。そう言われてみれば裁判所のシンボルマークにはバランスが用いられていたことをその折に再認識したことを覚えています。
物を量る計量器ではありますが眼に見えない人の心の揺れ方、傾き方も教えてくれるものでもあり、それ以来私も自宅にも置いて眺めることにしておりますが、凡人ですから置物のひとつとなってしまい、時折眺めることで心の落ち着き具合を問うています。
紅茶のテーステイングの折にはカルカッタでもダージリンでもこのアナログスタイルのバランスが未だに受け継がれ健在です。慣れた手つきで次々と50~60カップ分をあっという間に計量していきます。テーステイングルームは往時と左程変わらずゆったりと時が流れ、紅茶の香りが充満し居心地の良い空間でもあります。
特別にオーダーしてお皿の片方は紅茶が注ぎやすいように形を変えています。お皿に厚みを持たせたため実用性からは少し重くなりましたが、結構気に入っています。
ゆったりとしたひとときの紅茶を楽しむための小道具として作ってみました。